■寅彦帳 過去帳(8)■

■2007.10.23 【中谷宇吉郎著 『』 岩波文庫】
 ゆっくりゆっくり読み進めていた『』がついに読み終わりました。が、実のところ1回読んだだけではよくわからなかった(把握できなかった)ところが多く、後でパラパラめくりつつ読み返してやっとわかってきた、という感じです。多分、現時点ではだた読んだというだけで、内容についてほとんどわかっていないのでしょう。これから先、思い出しては読み返して、そのたびに発見することがあり、理解を深めていくのではなかろうかと思います。たった180ページあまりの本ですが、読めば読むほどに味わいのある1冊なのではないかと思います。お買い得?! 時間をかけて読んでも気にならない本、というのも、このあたりに原因があるように思います。昔から、1冊の本を何度も何度も読み返す、ということはあまりしてこなかったのですが(飽きっぽいので)、もしかすると、読み返すたびに味わいが深まるという本に出会わなかっただけなのかもしれません。『』に限らず、最近は読み返しても楽しめる本に出会えるようになって幸せです。
 さて、私の住んでいる地域では、雪は5年に1回ほどしか降らないので、この本に書かれている豪雪地帯の雪に対する苦労というものは想像を絶する世界でした。屋根の雪を下ろさないと建物が潰れてしまうという心配は、生まれてこのかたしたことがありません。多分、両親も祖父母もしたことがないと思います。いくら昔の話だとはいっても、この本に引用されている結城哀草果(ゆうき・あいそうか)の『村里生活記』の東北農民の生活、「
百姓だちは(中略)秋に収穫した米と藁とを、冬の間に食潰してしまうのである。かくて年々農家の身上は傾き、それが農村の敗亡となって現れるのである。」という生活とは無縁の暮らしを、私の先祖は代々送ってきたのではないかと思います。中学の歴史の資料集で見た、飢えて大根をかじる子供たち(岩手県1934年)の写真を見て、なぜ東北の子供たちがそれほどまで飢えなければならないのか不思議だったのですが、雪も大きな原因の1つだったのだと、今になってようやくわかったような気がします。雪の影響というものがそれほどまで深刻なものとは…。大雪と報道されても自分とは別世界のことのようで、同じ日本だとは認識していなかったと思います。
 私は雪を間近に見る機会がほとんどないので、この本に登場する様々な形の雪の結晶を観察することがなかなかできそうにないのですが、いつか雪が降ったらじっくりと観察したい気持ちになりました。でも、雪が降ること自体が珍しいことなので、観察をすっかり忘れてはしゃぎほうけておしまい、ということになってしまいそうです。大人気ない…。
 読み進めて、最後のまとめの部分になって寅彦の文章が引用されているのを見つけた時は、胸がじーんとしました。寅彦の科学に対する志が受け継がれているのが、嬉しいというか、静かな感動を覚えるというか…もしかしてこれは「萌え」というやつですか?(笑)←今までの流れ、台無し。

■2007.10.15 【明治村、再び!】
 今年2度目の明治村です。わが人生で3度目の明治村です。職場の人に「ヤマダさんて、同じ場所に2度は行かないと気がすまない人?」と言われました。そんなことはないのですが、好きな場所には何度行ってもいいものですね! 好きな本は何度読んでもいいし、好きな映画や舞台は何度見てもいいですし、好きなもんは好きなんじゃー! と、開き直っております。自分の気持ちに素直に生きたい。
 さて、当日まで天気予報を見つつ雨が降らないか心配して、念のため折り畳み傘を持っていったのですが、使わなくてすみました。ありがたや、ありがたや。一緒に行った友達が文句を言わないことをいいことに、村中歩かせました。ありがたや、ありがたや。結構歩きました。家に帰って万歩計を見たら、21000歩を超えていました。(大体、旅先で一日中歩くとこんな数字。)
 今回も夏目先生のおうちでのんびり寛ごうと企んでいたのですが、琵琶法師(?)の男性がいらしたので、のんびりしていられませんでした。残念です。凝視しようと思っていた掛け軸(先生の原稿が貼ってある)も、じっくり見ることができませんでした。っていうか、琵琶の音色を披露されてしまうのかと思うとその部屋に入るが億劫になってしまいました。もっと図々しくなるべきでしたかねー。菅の書は見てきました。多分複製です。風通しのよい部屋なので、本物を飾っていたら痛みが早いと思うので…。(松山の子規堂の収蔵品の状態を考えると、本物は安易に展示してほしくないなぁと思います。)
 嬉しかったのが、前回(5月)は企画のために入れなかった場所に入ることができたこと! 特に呉服座(くれはざ)! 昔の芝居小屋なのですが、建物の案内に参加すると、升席、桟敷席に座ることができますし、舞台にも上がれる、さらに奈落(舞台の下)、花道の下も通れて、楽屋まで見物することができる…! 非常に楽しかったです。他にも東松(とうまつ)家住宅! 急な階段を上って3階まで上がる、その眺めもすばらしいのですが、それぞれの部屋が面白い。大きな吹き抜けを上から眺めて、落ちたら死ぬ…! とビビっていました。
 今回認識を深めた点はやはり、本物の金持ちは違う、ということでした。さらに、貴族として生まれながらの金持ちと、商人としての金持ちとでは、金持ちは金持ちでも質が違うということも実感。お金のかけ方というか、コンセプトというか…明確な言葉で表現することができないのですが、貴族的金持ちは貴族的だし、商人は商人的な建物に仕上がっているように思いました。まぁ、同じ貴族、商人というくくりでも、建てる人によるとも思いますが、今回見た中ではそういう印象でした。
 蝸牛庵に行くといつも「色っぽい建物だなぁ」と思うのですが、建物に対して、どこがどう色っぽく感じられるのかが不思議でなりません。建物のいわれがそう感じさせるだけではなく、間取りというか、つくりというか、空間というか、何なのかをはっきり説明することはできないのですが、色っぽさを感じます。夏目先生の家には色っぽさは感じないのよね…。なぜだろう…? 不思議です。
 今回も第四高等学校物理化学教室に入りました。中谷宇吉郎も使ったかもしれない実験室…!(私の頭の中では使ったことになっています。←妄想) 席に着いて机をなでさすってきました。急な階段教室なので、椅子の背が高くなっているのがいいと思います。座りやすい。木でできているので座るとひんやり冷たいですが、現代的な大学の椅子(プラスチックや金属でてきているもの)よりも私は好きです。机の奥行きが狭いので、どうやってノートをとっていたのかな、と想像していました。昔のノートの方が表紙が厚い(硬い)のかな、とか。それにしても、心無い来訪者の落書きが多くて腹が立ちます。建物だって大切な資料なのに〜! 天罰が下ればいい。
 他にも色々見てまわったのですが、とりあえずこの辺で。
 10月〜11月の間に、江戸東京博物館の漱石展に行くつもりです。これは絶対に! 他にもまだまだ遊びに行く予定があります。楽しみです!

■2007.10.13 【試験終了】
 ご無沙汰にご無沙汰を重ねてすみません、それにしてもご無沙汰しております。(何度書けば気が済むんだ。) 先日、今年受ける最後の試験が終わりました。これが夏目先生の試験だったら、寅彦に点をもらいにいってもらいたいところなのですが、夏目先生の試験でもなければ、寅彦がいるわけでもないので、仕方なくじっと結果を待つばかりです。会場でトイレの場所を間違えたり、ドアに手をぶつけて出血したり(ほんのちょっぴりです、ご心配なく)、テスト問題との相性が悪かったりで後味が悪い終わり方となってしまったのが残念です。まぁ、力不足でしょう。
 さて、試験が終わってからは、ほっとしたり、仕事したり、部屋を片付けて掃除したりしていました。色々とやることはあるはずなのに、いざ時間ができてみると中々はじめる勇気がでないというか、面倒くさがるというか、エンジンがかからないというか…。ぼんやりするのが楽しい毎日です。
 毎晩寝る前にゆっくり中谷宇吉郎著『』(岩波文庫)を読み進めています。雪の仕組みも面白いですが、雪の実験への取り組み方がまた面白い。時々、「寺田先生」が出てくるのが嬉しい。ページ数は多くはない本なのですが、読めば読むほど味わいのある充実した本だと思います。ざっとではなく、ゆっくり読みたいというか、ゆっくり読んでも後ろめたさを感じないというか…いつもならなかなか読み進められないと苛立ちを感じるのですが、この本は何だか違うようです。このまま、毎日少しずつ読んでいきたいと思っています。
 ところで、明日再び明治村に行きます! 今度は別の友人と〜♪ 楽しみです。天気予報の雨のマークが気になるのですが(ちょっとぱらつく時間帯がありそう)、降らないことを祈りつつ、電車に乗り遅れないことを祈りつつ…全力で遊んで来ようと思います!!

■2007.09.07 【日々是妄想】
 随分とご無沙汰しております。すみません。寅彦のことを忘れてしまったというわけではありませんのでご安心ください(?)。
 今日は、食玩で漱石門下シリーズとか出ないかな、とか考えていました。漱石と寅彦のフィギュアがあったら欲しいというだけなのですが、「漱石俳句研究トリオ揃った!」とか、「げー、また小宮かよ、これで3体目!」とか、そういったのを言ってみたい。で、集めたフィギュアをならべて、山房再現とかやってみたい。夏目先生の隣は寅彦で! いや、むしろ寅彦と先生の二人だけをならべるってのもいいな。
 漱石門下シリーズだとマニアックすぎるなら、明治文豪シリーズというのでもいいな。子規とか、鴎外先生とか。あ、でもそれだと寅彦が入れてもらえないかもな〜。
 だったら、戦前の科学者シリーズとか作ってもらって、寅彦入れてもらえばいいんじゃん! もちろん、牧野富太郎も!
 …そういうことを考えておりました。
 それほど勉強漬けの毎日というわけでもないのですが(もちろん勉強漬けになった方がいいのですが)、寅彦の関連書を読み漁るような余裕がないので、その辺の欲求不満を妄想で補おうとしている模様。

 ところで、前にも書いたNHK教育の「10min.ボックス」という番組をこの間見たら、夏目漱石でしたよ! 『坊っちゃん』! 松山の風景も出るし、明治村の先生の家も出るし、ウハウハの10分間でした。ネット上でも見られます。国語。もうすぐ『こころ』もあるようなので、楽しみにしています。
 10min.ボックス: http://www.nhk.or.jp/10min/

■2007.07.10 【未知との遭遇】
 先日、久しぶりに図書館の『寺田寅彦全集』を見に行ったところ、何と第1巻がない! どうやら貸出中だったようです。だれ? だれなの?! 近くに寅彦を探っている人がいると思うと、何だか落ち着きません。いつか、その「だれか」と遭遇する日があるのでしょうか。いや、なさそうですけど。(諦め早いな!)

 寅彦研究書の王道(であろう)、太田文平著『寺田寅彦』(新潮社/平成2年)を借りてきました。受験生の身ゆえ、読みふけらないようにしているのですが、ぱらぱらめくっては眺めております。とりあえず、メモ。
 五高時代、
漱石と寅彦の師弟関係を形成する契機となった「点を貰う」ということの、原因を作った人物(p.63)は、竹崎音吉。竹崎音吉の未亡人、竹崎一枝の証言(p.64)によると、「主人(音吉)は剣道や柔道をやったりして、ほたえてばかりいたものですから、英語の成績が悪くて進級が危なくなり、担当の漱石先生のところへ優等生の寺田さんにたのんで命乞いに行ってもらったのも度々だったと聴いております。」とのこと。命乞い…! 度々…!
 最近、寅彦が点を貰いに行ったのは誰のためだったのか、何となく気になっていたのでスッキリしました。

 NHK教育「知るを楽しむ」の『夏目漱石 悩む力』の第1回を見ました。姜尚中先生の物静かな口調にきゅんきゅんきています。知的な人間に弱い…。

■2007.07.02 【小山慶太著 『肖像画の中の科学者』 文春新書】
 先日、某紙の書評で『自分の体で実験したい』(レスリー・デンディ、メル・ボーリング著、梶山あゆみ訳/紀伊国屋書店)という本があることを知り、図書館で借りようと思って棚から引き出したら、隣の本が一緒に抜けて床に落としてしまいました。やれやれ戻すか…と拾ったのが『肖像画の中の科学者』。科学者? 肖像画? 何だか引っかかるものがあったので、開いてみると目次に「寺田寅彦」の文字が! カラー口絵に寅彦の自画像が!
 もちろん、借りました。
 『肖像画の中の科学者』の著者紹介を見ると、『漱石とあたたかな科学』『漱石が見た物理学』という著書が…! 絶対寅彦出てるよ! だって、漱石で物理といったら寅彦でしょ! と思っているのですが、さてさて。今度読んでみたいと思います。

 ちなみに、『自分の体で実験したい』は、自分の体を使って人体実験をした科学者(モルモット科学者)達の列伝です。読みやすく、わかりやすい文体で、自分の実験に命懸けで挑んだ科学者達とその実験が紹介されています。何でそんなに危ないことをしなければならないのかと思う反面、これらの科学者たちのおかげで病気、ガス中毒、麻酔などの危険から身を守り、恩恵をうけているありがたさが身にしみます。しかし、危ない実験ばかり…。臆病者の私はフォルスマンの「心臓カテーテル」の実験の章は読めませんでした…。巻末にモルモット科学者年表もついています。色んな実験があるものだ…。

■2007.07.02 【「10min.ボックス」】
 前回に引き続き映像のお話など。
 NHK教育の「10min.ボックス」という番組の、国語 現代文の1学期の『俳句』の回は、正岡子規特集です! 10分の番組ですが、子規庵の映像も入っています。「
子規の志を受け継いだ二人」として、虚子と碧梧桐にも触れられています。よしよし。国立国会図書館の「近代日本人の肖像」の子規の紹介文には碧梧桐の名前がないからなぁ…。載せてよ! 漱石の門下に寅彦の名前も載せてよ!(しつこい)
 「10min.ボックス」はネットでも見ることができます。

 10min.ボックス: http://www.nhk.or.jp/10min/
 国語 現代文>俳句: http://www.nhk.or.jp/10min/gendaibun/ja/frame.html?0&07&06

■2007.06.24 【近代科学の啓蒙者「寺田寅彦」
 「サイエンスチャンネル」というのをご存知ですか? ケーブルテレビやSKY PerfecTV! で見ることができるのですが、インターネットでも見ることができます(無料)。そもそも「科学技術振興機構の科学技術理解増進事業」(漢字が多いな!)なのだそうで、無料放送又は追加の視聴料負担のない放送、とのことです。(科学技術振興機構の番組とは、今まで知らなかったよ!)

 で、「米ちゃんのにっぽん歴史科学館」という番組の第5回のタイトルが『近代科学の啓蒙者「寺田寅彦」』なのですよ! そりゃあ見るでしょ! 現実逃避とか言わない!(笑)
 29分の番組をネットで見るのは中々大変で(パソコンが)、全編寅彦オンリーというわけではなかったのですが、こうしてタイトルに寅彦がうたわれた番組があること自体が喜びであります。子供のやわらかい脳に寅彦の名を刻み込めっ!
 寅彦も食べたというステーキ(?)をレポーター(女子)が食べていて、ずるい! と思いました。っていうか、歯が悪い寅彦、そんな筋ばったような肉食べれるの? と思いました。ナイフで細かく刻めばいいのか。
 理科のおもしろ実験でおなじみ、米村傳治郎(でんじろう)先生の番組なので、寅彦よりも、それにちなんだ身近な材料での実験の方に重点が置かれている印象。お皿に筆で薄ーく牛乳をのばし、そこにソースをたらすと、樹木の枝のような不思議な模様ができる、というものをやっていたのですが、ついつい味を想像してしまってなんともいえない気分に。(牛乳とソースを混ぜて味わったことは多分ないのですが。)

 サイエンスチャンネル: http://sc-smn.jst.go.jp/
 近代科学の啓蒙者「寺田寅彦」: http://sc-smn.jst.go.jp/8/bangumi.asp?i_series_code=B990206&i_renban_code=005

 余談になりますが、サイエンスチャンネルでは、「THE MAKING」という番組が好きです。1つの製品について、製造過程が順を追って映されるという(つまり工場の生産ラインが説明の字幕とともに延々と映されている。しかもナレーション一切無し。)、非常に硬派な番組です。鉛筆、缶詰、こいのぼり…と、近代的工場風景もあれば、家庭内手工業もあり、とにかくバリエーションが豊富。その数何と200以上! 1回が14分程度、ほとんどをネットで見ることができます。私の場合、ケーブルテレビで放送されているのをたまに見るのですが、最初から見るもよし、途中から見て何を作っているのかあてるもよし(クイズ形式?)、見始めると最後まで見ずにはいられません。日本にはたくさんの職人さんがいるんだなぁ、と感心するばかり。「パートのおばちゃん」と思われる人々も大活躍です。時給いくらなんだろう…。(発想が下世話ですみません。)
 THE MAKING: http://sc-smn.jst.go.jp/4/series.asp?i_series_name=THE+MAKING
 ちなみに、知人のオススメは「イカの塩辛」でした。大量の塩辛がかき回される映像がなんとも…とのことでした。 私のお気に入りは「えのぐ」です。練りまくり!

 サイエンスチャンネルでは、教育目的の利用であれば、番組の無料での貸し出しも行っているそうです(ただしビデオテープの配送・返送料は自己負担)。詳しくは番組ホームページをご参照ください…と書くと、回し者みたいですね(苦笑)。

■2007.06.15 【仙台土産】
 仙台旅行をした方からお土産をいただきました。羊羹と石鹸! 非常にうれしいです。
 なぜなら、羊羹は東北大学創立100周年記念「漱石の愉しみ」! 白松がヨーカンのおいしさもさることながら、パッケージが『吾輩は猫である』の初版! かわいい! 以前、某所であるお方に見せていただき、いいな〜いいな〜と羨んでいたのです(笑)。机の上に飾ってにんまり。
 石鹸は坊ちゃんマークの釜出し一番石鹸。坊ちゃん? と思ってネットでしらべたら、由来は漱石の『坊っちゃん』だそうです。(参照:(有)東北石鹸佐藤工場 http://www.kamadashiichiban-sekken.com/ 「坊ちゃんのひみつ」) これも、使うのがなんだかもったいなくて、机の上にかざってあります。使ってみたい、でもこの白い、四角い石鹸の感じ、なんだかいいのよね…、みたいな気持ちで眺めています。ちなみに、品名は「台所用石けん」となっております。純粋無添加だそうです。
 仙台、行ってみたいです。

 旅行の前に、「仙台といえば何?」と聞かれたのですが、つい「東北大学」と答えてしまいました。漱石文庫があるし、小宮がいたし…仙台といえば、東北大学ですよねぇ! 「普通、ずんだとか、牛タンとか言わない?」と言われてしまいました。アイタタ。

■2007.06.02 【足】

 先週、遠方より来た友人と名古屋の愛知県美術館へ行き、伊藤若冲の絵を見てきました。面白かった! 虎の足がやたらと丸く描かれている絵があり、「プリティーな虎だねぇ」「だって、題名の英訳が『Tigar』だもんねぇ。こりゃあプリティ・タイガーだよ。」などと言いつつ見てまわりました。いかにも肉筆浮世絵な『群舞図』の英訳が『Dancers』。ダンサーですよ、ダンサー! 英語にするとえらく情緒がなくなるもんだと思いました。

 せっかくのお出掛けなので、以前いただいた赤縞の五本指靴下をはいて行きました。(右の親指にはR、左にはLの白い文字が入っています。) 後で友達にこっそり「今日五本指なんだ…」と見せたら、「私もだよ」と灰色の五本指靴下を見せてくれました。類友!

■2007.05.20 【こいのぼ】
 財布の中にたまったレシートを整理していたら、「こいのぼ」の文字が。え〜何それ!
 よく見たら「A5スリムノート こいのぼ」…そういえばこの間、こいのぼり柄のノートを買ったのでした。レシート上の文字数の制限で「り」が入らなかったのね…。ビックリした〜! ドギマギしちゃったことを告白しておきます。(何考えたんだよ!)

 5月13日の『明治村日記』によると、私達が行った5月4日は来村者が1万人を越えていたそうですよ!(出典: http://www.meijimura.com/miryoku/diary.asp) そりゃあ混んでいたわけですよね! 「
ゴールデンウィークを終えた今の明治村は、先週までの賑わいとはうって変わって静かな、穏やかな時間が流れています。」とのこと。静かな明治村にも行ってみたいものです。(遠慮なく写真撮影やら、職員の人に質問やら、待たずに食事やら、存分にしてみたい!) 混んでるのも「明治流行ってる!」って感じで楽しかったですが! もちろん!
 ちなみに、5月13日の写真は夏目先生の家です。ニンマリ。

 漱石や子規の子供向け伝記とかマンガとかがあるのはもっともだと思うのですが、中谷宇吉郎のものもあるらしい。小納弘・神田健三著『中谷宇吉郎物語』、加賀の中谷宇吉郎雪の科学館、通信販売のページに「
子供向けに宇吉郎の一生と雪の科学を紹介。漫画のページも。」と紹介されています。マンガも…! 高知県立文学館も、子供向けに寅彦の一生と物理学を紹介した冊子を作ってくれたらいいのに…! マンガも…!
 それにしても、他にもほしい本、手にとってみたい本がいっぱいですよ! 太田文平著『中谷宇吉郎の生涯』とか、中谷治宇二郎著『日本縄文文化の研究』とか!(中谷の弟は考古学者。)
 加賀に行きたい。

■2007.05.05 【夢の国】
 昨日は萌治村…もとい、明治村に行ってきました! 楽しくないはずがない! 1日満喫しました! 前日東京で派手に厄落とししたせいか、大きな失敗もなく順風満帆。いや〜、厄も落としておくもんですね!(前日何があったのかは内緒…。)
 歩いて話して楽しんでいたら、写真をあまり撮ってこなかったことに気がつきました。いいんです、あの場にいられただけで十分幸せだったのですから! 後で資料、資料、と思ったときに苦労するかもしれませんが(苦笑)。見たり聞いたり触ったり、五感フル活用、全身全霊で遊んできましたよ! 夢のようでした〜。感謝感謝。

 メインはやはり、森鴎外・夏目漱石の家、ということで、一番に目指しました。現代人の感覚からすると、こぢんまりとした一軒家。鴨居が低めなので、夏目先生なら頭はぶつけないとか、豊次郎はあぶないとか、寅彦もぶつけるかもしれないけど猫背だから大丈夫じゃないかとか、そういったことだけでも盛り上がりました。この家に寅彦が恋人に会いに行くかのように通ったかと思うと、目じりが下がる下がる。シャッター切る切る。デジカメ上等。
 書斎では、先生のポジションについてレクチャーを受けました。本棚の位置も教わりました。明治村公式(?)、漱石のおともだちは啄木と子規と虚子…えー! 明治村側の「おともだち」設定は謎が多いです。(おもしろかったけど…無理がある気が。)

 明治村のホームページをあらためて見ていたところ、夏目先生の書斎に飾ってあった「我猫庵(がびょうあん)」の書は菅虎雄の書だそうですよ!(出典:明治村百選 http://www.meijimura.com/hyakusen/094.html) 知らなかったよ〜! そんならもっと見ておけばよかった!!
 この「明治村百選」には夏目先生のシルクハットも載っているのですが、その解説が楽しいです。「(シルクハットは)
形見としてフロックコートなどと一緒に贈られた。小宮は非常に誇りに思い、この帽子とフロックコート姿で記念撮影している。」(http://www.meijimura.com/hyakusen/033.html) 小宮は歴史に足跡を残しているなぁ!

 そうそう、中谷宇吉郎は金沢四高の出身でしたよ! しかも弓道部。明治村にあった弓道場でも練習していたのかも…! グッジョブ、自分!(ギリギリ中谷の出身校かもと思いついた。でも当時の学制についてはよくわかってなかったので教えてもらった…。) 物理学実験室に中谷も出入りしたのかもしれない…と思うと、いてもたってもいられなくなります。これが萌えというものか。

 以前から気になっていた「デンキブラン」も飲みました。昼間っから!(笑) 小さなグラス(ショットガン?)に入ったデンキブラン…濃かった…! 甘いのですが、アルコール度数30。濃いですよ。お酒を飲むのが久しぶりだったので酔いやしないか心配だったのですが、何とか大丈夫でした。でもその後すぐに郵便局でハガキを書いて送ろうとしたら、字がへろへろになってしまいました。いつにもましてひどい文に(思考力低下)。酔っていたようです。デンキブラン、侮りがたし。
 脈はともかく体温が上がったように思っていたら、顔が真っ赤との指摘を受けました。酔っていたようです。

 ゴールデンウィーク中で開園時間を延長していたため、夜8時頃までじっくり見て回ることができたのですが、普段だったら1日じゃ絶対に足りないと思いました。夜8時まででも足りなかった。何となく見学ならそうでもないのかもしれませんが、思い入れがあればあるほど時間が必要になるものだと思いました。もっと色々、楽しかったことがあったのですが、書ききれません。充実した1日でした。
 また行きたいです! どうもありがとうございました!

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